イモビライザーとは、キーの「ID」と車の「ID」が一致しないと車のエンジンがかからない「電子的な割符(わりふ)」
現在、さまざまな手口で車が盗まれています。
そんな中、キーと車の「ID」の一致で車を守るのが「イモビライザー」です。
イモビライザーが搭載されていると、例え「偽キー」をつくっても車のエンジンをかけることはできません。
では、イモビライザーとは一体どんなものでしょうか。
今回は、自動車窃盗対策「イモビライザー」・「ID」の一致で車を守る について、どこよりもわかりやすくご紹介します。
そもそも「イモビライザー」とは何か?
イモビライザーとは、キーの「ID」と車の「ID」が一致しないと車のエンジンがかからないシステムのことです。簡単にいうと「電子的な割符(わりふ)」のようなものです。
「イモビライザー」とはどんな意味なのか?
Immobilizer(イモビライザー)とは「動かなくするもの」という意味です。
Immobilizerの原型は「mobilize(モビライズ)」といいます。
mobilize(モビライズ)は「動かす」という意味です。
そのmobilizeに、否定の接頭辞である「im」をつけたことで「動かなくするもの」という意味になります。
そこからイモビライザーは「車を動かなくする盗難防止装置」という意味になりました。
次に一般的な車とイモビライザー搭載車でエンジンがかかる仕組みの違いについてご説明します。
一般的な車のエンジンがかかる仕組み
一般的な車でエンジンがかかる仕組みは次の通りです。
- 車のキーをキーシリンダーに差し込む
- 鍵山が一致する
- イグニッションスイッチを回す
- エンジンがかかる
キーシリンダーとは、キーを差し込んで回すことで車の各機能を起動させることができるパーツのことです。
イグニッションスイッチとは、車のエンジンをかける起動スイッチのことです。
キーを回すと「LOCK」「ACC」「ON」「START」の順番で車の各機能が起動し、最後の「START」でイグニッションスイッチが入ります。
「LOCK」「ACC」「ON」「START」の内容は次の通りです。
①LOCK(ロック)
キーがロックまで回わるとハンドルロックが解除される
②ACC(アクセサリー)
キーがACCまで回わるとエンジンをかけなくてもカーコンポなどが使える
③ON(オン)
キーがONまで回るとすべての電気系統がオンの状態になる
④START(スタート)
キーがSTARTまで回わるとエンジンがかかる
また手を離すとONの位置に戻る
イモビライザー搭載車のエンジンがかかる仕組み
イモビライザー搭載車でエンジンがかかる仕組みは次の通りです。
- 運転者がイモビライザーキーを持って車に乗り込む
- イモビライザーキーに内蔵された「トランスポンダ」の「ID」と車側のイモビライザーコンピュータの「ID」が一致する
- 通電がONになりエンジンがかかる
簡単にいうと、キーと車側の「ID」が一致しないと、車内を通電させない仕組みになっています。
ちなみに「ID」は数百万通りの「ID」を相互に連携しているので、簡単に解読することはできません。
「トランスポンダ」とは何か?
トランスポンダとはイモビライザー搭載車用のキーのことです。
トランスポンダとは「トランスミッタ(送信機)」と「レスポンダ(応答機)」の合成語のことです。
トランスポンダ機能があることで、イモビライザーシステムが起動します。
イモビライザーシステムの仕組み
こちらではイモビライザーシステムの仕組みについてわかりやすくご紹介します。
- イモビライザー搭載車のキーに「トランスポンダ」という「IDチップ」が埋め込まれている
- 車のコンピュータの中にも「トランスポンダ」の「ID」の情報が登録されている
- 運転者がイモビライザー搭載車のキーを持って車に乗り込むと、キーからECU(車のエンジン制御ユニット)へ「ID」が送信される
- ECUが「ID」を確認する
- 「ID」が一致する
- 車内への通電がONになる
- イグニッションスイッチをONにするとエンジンがかかる
「イモビライザー」には弱点はあるのか?
こちらではイモビライザーの2つの弱点についてご紹介します。
①イモビカッター
1つ目の弱点がイモビカッターです。
イモビカッターとはイモビライザーを無効化できる装置のことです。
イモビカッターの仕組みは車の電子制御装置に侵入し「ID」を書き換えることができます。
すると車内が通電し、イグニッションスイッチが入り、車のエンジンがかかります。
②リレーアタック
2つ目の弱点がリレーアタックです。
リレーアタックとはキーが出している微弱な電波を増幅、リレーし車のカギを開ける窃盗方法のことです。
イモビライザーもリレーアタックは防御できません。
イモビライザー搭載車のキーから発信されている電波が増幅され、ドアロックの解除、エンジンの始動がされてしまいます。
まとめ
今回は、自動車窃盗対策「イモビライザー」・「ID」の一致で車を守る についてご紹介しました。
イモビライザーは、車の盗難防止に一定の効果があります。
なぜなら2008年に27,668件発生していた自動車窃盗が、2022年には5,734件まで大きく減少しております。
大きく減少した理由は、この間にイモビライザーの普及が大きくすすんだからです。
ただし、この機能だけで過信することは危険です。
最新の盗難防止用品を活用して、複合的かつ物理的にも盗難防止策を導入されることをおすすめします。