「懸賞金」や「報奨金」をかけることで、盗まれた車は返ってくるのでしょうか?
自動車窃盗はピーク時の2003年よりも減っているものの、中々後を絶ちません。
盗難対策をやっても盗まれてしまいます。
盗難後の次の一手が「懸賞金」や「報奨金」です。
では「懸賞金」や「報奨金」で盗まれた車は返ってくるのでしょうか。
今回は、自動車窃盗の「懸賞金」と「報奨金」の違い・懸賞金は意味があるのかについて、どこよりもわかりやすくご紹介します。
自動車窃盗の「懸賞金」とは何か?
自動車窃盗の「懸賞金」とは、盗難車の発見者、盗難車に関する重要な情報提供者、または犯人逮捕に関する有力な情報提供者に渡されるお金のことです。
懸賞金の読み方は「けんしょうきん」と読みます。
① 日本初の懸賞金がかけられた事件
日本で初めて懸賞金がかけられた事件は、1982年に発生した福田和子事件です。
容疑者は14年と344日逃げ回り、時効成立21日前にギリギリで逮捕されます。
この時の懸賞金は愛媛県警が100万円、福田和子の顔を整形した病院が400万円、総額500万円の懸賞金がかけられました。
500万円は当時としては結構な金額です。
ちなみに福田和子の逮捕の情報提供者は懸賞金の500万円をもらいますが結局はすべて寄付します。
② 自動車窃盗の「懸賞金」の提供者はだれか?
自動車窃盗の「懸賞金」の提供者は、通常は民間人・個人です。
福田和子の事件の場合は殺人事件だったことから、愛媛県警が懸賞金をかけました。
「報奨金」とは何か?
報奨金とは、目標を達成した時にもらえる「賞金(お金)」のことです。
報奨金の読み方は「ほうしょうきん」と読みます。
警察が賞金提供者になる場合は「捜査特別報奨金制度(公的懸賞金制度)」が活用されます。
捜査特別報奨金制度とは?
捜査特別報奨金制度とは、主に人の生命・肉体・財産に対して重大な被害が及ぶ場合に、検挙に結び付く情報を提供した者に対して協力の度合いによって報奨金を支払う制度のことです。
捜査特別報奨金制度が使えるのは次の4つの事件です。
- 殺人
- 強盗
- 放火
- 不同意性交
① 報奨金の上限額
報奨金の上限額は300万円です。
最大1000万円以内まで可能です。
② 報奨金の対象期間
報奨金の対象期間は通常は開始から1年間です。
ただし状況によって期間が短縮、延長されることがあります。
自動車窃盗に関する報奨金制度
自動車窃盗に関する報奨金制度とは、都道府県の「自動車盗難等防止協議会」が実施する自動車窃盗に特化した報奨金制度のことです。
自動車窃盗に関する報奨金制度の正式名称は「自動車関連窃盗情報報奨金制度」といいます。
ただしすべての都道府県ではおこなわれていません。
現在は愛知県、茨城県でおこなわれています。
愛知県の自動車窃盗に関する報奨金制度の例
こちらでは愛知県の「自動車盗難等防止協議会」が実施する自動車窃盗に関する報奨金制度についてご紹介します。
①実施期間
- 実施期間は1年間です。
②報奨金が支払われるケース
- 報奨金が支払われるケースは、愛知県内で発生した自動車窃盗事件に関する情報提供者に対して、被疑者の検挙、または事件の解決に貢献した場合に報奨金が支払われます。
③報奨金額
- 報奨金額は自動車窃盗に関する情報については10万円、その他の自動車関連窃盗等に関する情報には1万円が支払われます。
- 報奨金額は情報の重要度によって異なります。
最大100万円の懸賞金をかけて効果アリのケース
こちらでは自動車窃盗事件に関して、最大100万円の懸賞金をかけて効果がアリのケースについてご紹介します。
事件は2024年1月31日未明に千葉県野田市内にあるホテルの駐車場で日産スカイラインGT-R(BNR34)が盗まれた事件です。
オーナーはレンタカー屋さんで、34GT-Rはレンタカー屋の目玉商品で、海外からの観光客に貸し出されていました。
その後、オーナーは被害当日の午前10:40に当時のツイッターに自動車窃盗被害に遭ったことについて投稿、267.9万インプを集めました。
その後、最大100万円の懸賞金をかける投稿(現在は削除されている)
盗難されたBNR34 GTRですが、懸賞金最大100万円をお支払します。直接回収につながる情報(回収できた場合のみ)、また回収していただけた方、懸賞金最大100万円お支払します。ご協力よろしくお願いします。(原文ママ)
さらに同年3月18日に横浜税関のコンテナ内から盗難車が発見されます。
今回の自動車窃盗事件はツイッター投稿後から、続々と有力情報が届けられ、盗難車発見にまで至ったことから、懸賞金の効果はアリといえます。
100万円の懸賞金をかけても効果が得られなかったケース
こちらではバイク窃盗事件に関して、最大100万円の懸賞金をかけても効果がナシのケースについてご紹介します。
事件は2024年3月12〜13日の間に、神奈川県伊勢原市で1974年式のスズキGT380 B3 中期型が盗まれた事件です。
オーナーは当時のツイッターに盗難事件後、投稿します。
インプレッションは542.8万 件超えになりました。
ただしPostを見たところ、残念ながら盗難車に関する有力な情報は無いようです。
自動車窃盗で懸賞金はレアケース
実は自動車窃盗事件に関して、懸賞金をかけるのはかなりのレアケースです。
通常、自動車窃盗の場合は「保険金支払い」が一般的だからです。
盗まれた自動車を懸賞金をかけてまで探すケースは、盗難車が「プレミアム」や「思い出」など保険金支払いでは価値が及ばない場合におこなわれます。
自動車窃盗で懸賞金は意味があるのか?
結論からいうと自動車窃盗の懸賞金は意味がないかもしれません。
その理由はプロの自動車窃盗団から盗まれれば、すぐにヤードに持ち込まれ、数日以内に影も形もわからないくらいにバラバラに解体されるからです。
盗まれた車は表に出ないので、いくら懸賞金を積んでも探しようがありません。
もし懸賞金にのぞみがあるとするならば、プロの自動車窃盗団ではなく、衝動的に盗んだ窃盗犯の場合です。
衝動的に盗んだ窃盗犯は隠しはするが、バラバラに解体するという考えがないので、まだ探しようがあるからです。
まとめ
今回は、自動車窃盗の「懸賞金」と「報奨金」の違い・懸賞金は意味があるのかについてご紹介しました。
大金を積んででも手塩にかけて大切にしてきた愛車を取り戻したい!という、盗まれた方の藁にも縋る気持ちは十分理解できます。
ぜひとも、盗まれる前にありとあらゆる防犯対策をすることをおすすめします。